(こっちはガチで自分用のメモとして使用するので、読んでも内容がわからない可能性があります。)
2.7 時間の区別はどのように具現されるのか
- 言葉による物語は文法や意味論の手段を用いてストーリー上の時間を表現できるが、映画にも独自の方法がある。
- 小説の場合、ストーリー上の<現在>は過去形を用いて示されることが多いが、現在形や(ほぼないが)未来形も用いられる。
- また、過去形で語られているにもかかわらず、語られている人物の視点に立って現在を示す副詞が用いられていることがある(「登場人物による時間の同一化」)。
- ストーリー/ディスコースの<現在>の区別の他に、登場人物/語り手の<現在>の区別も考えられる。
- (英語の場合)現在形で物語が書かれている場合もあるが、それでもストーリー上の<現在>とディスコース上の<現在>は区別されている(語り手は結末を知っているはず)*1。
- 映画は現在の時制しかないと考えられがちだが、全てを編集なしで提示すると長いので、カットして省略している。
2.8 物語のマクロ構造とプロットの類型学
- 今までのはミクロ。これからはマクロ。
- プロットの類型学については、表現よりも内容が重視される傾向にある(主人公の浮き沈み、属性(善悪)、能力などで分類されることが多い)。
- これらの分類は一般的には理解されていない文化的な仮定に基づいている点、読者の価値観や読みをあらかじめ決めつけている点で問題がある*2。
- それに対し、フォルマリストや構造主義者はどのように考えているのか。
- プロップは状況、登場人物が異なる物語の中で、「同じ」行動を取ることができることに気がついた。それを機能(形態素)として取り出し、その中で関数記号(状況、登場人物)が交換可能であるという理論を提示した。
- トドロフもプロップと似た手法をとっている。ストーリーから三つの象徴(物語の主語、形容詞、述語)抽出し、その配列に一定の型があるか分析する。
- しかし、彼らの還元の妥当性はあくまで直感に依存している。
- また、現代の(それなりに文学的な)物語を分析してもこうしたマクロ構造に還元できるとは思えない*3。
- ここで強調したいのはあらゆる物語を分類・説明できる画一的な方法はないということである*4。
- 物語の中核的要素(プロットを形成する特質)は確かに存在するが、重要なのはそれを強引に還元して単純化することではなく、その複雑さを拾う分析である。
- 出来事を文脈から切り離して分類することはできない。分析者の関心は中核的要素同士がいかにして繋がるのか、ストーリー全体においてどのような意味を持つのかである。
- プロットの類型学の背後にあるのはコード(慣習)であり、類型学によりプロットの特徴を明らかにする試みはこのコードを理解することにかかっている。