フィクションを哲学する

くだらなくてもいいじゃない。

『ストーリーとディスコース』第二章「ストーリー—出来事」中盤(p.74~p95) メモ

(こっちはガチで自分用のメモとして使用するので、読んでも内容がわからない可能性があります。)

2.6 時間とプロット

  • 物語の時間には二種類ある。
  • この二つの時間の関係はさまざまな疑問を引き起こす。
  • 物語では二つの時間に対応して二つの<現在>が確立されている。語り手が不在(表に出ない)場合、ストーリーの現在が強調され、語りの時間は基本的に過去になる*3

2.7 順序、持続、頻度

A. <順序>

  • 錯時法(フラッシュバック、フラッシュフォワード)とか。
  • 映画のモンタージュでは錯時法か単なる場面転換か分かりにくい時がある。
  • フラッシュバック、フラッシュフォワードのフラッシュ性は映画の媒体の特性(カットなどによる場面転換)によるもの。後説法や先説法の特殊なケースと考えるべき。
  • 発声 映画(サウンド・フィルム)は映像と音声の片方に錯時法を適用することができる。
    • 射程距離:<現在>から錯時法の地点までの距離。
    • 振幅:錯時法の出来事の持続時間*4
  • さらに細かい分類
    • 外的な錯時法:現在のよりも先に錯時法が来て、終わる。
    • 内的な錯時法:現在の後に錯時法が来て、終わる
      • 等質物語世界的錯時法:現在のストーリーと衝突する*5
      • 異質物語世界的錯時法:しない。
        • 補完的な錯時法:省略や黙説法により出来事が省かれる*6
        • 反復的な錯時法:同じ出来事が繰り返し提示される。
    • 混在する錯時法:現在よりも先に来て、後に終わる
    • 空時法:ストーリーとディスコース間の時間的・論理的関係が曖昧、もしくはない。
  • ジュネットの錯時法の分類は、時間的重心を持つ一本道のストーリーを前提になされている。
  • ただ、物語の縄が複数存在し、現在も複数存在するケースもある。
  • 提示:「ストーリーの行動本体が始まる前に、存在する登場人物や出来事に関する必要な情報」を与えること。
  • 提示は通常要約した形で出される。ただ、最近はフラッシュバックを提示として使用することもある。

B. <持続>

  • 物語を読み取るのにかかる時間と、ストーリーを形成する出来事が継続した時間の関係。
  • 要約法:ストーリーの時間>ディスコースの時間
    • 映画の場合は工夫がいる。時間が経過したことを字幕やカレンダーをめくることで直接伝えることもできるが、モンタージュで出来事を連続して配置することで示すことも可能である。
    • この出来事を連続して提示する手法は小説でも可能である。
  • 省略法:ストーリーの時間>ディスコースの時間=0
    • 映画の場合「カット」と同一視されるが、これは映画位における省略法の具現の一つに過ぎないし、さらにいうなら、カットは空間の移行をしめしているだけで、省略法になっていないこともある。
  • 情景法:ストーリーの時間=ディスコースの時間
    • 情景法は①会話と②比較的短い継続時間の明白な物理的行動の二つから成る。
  • 伸長法:ストーリーの時間<ディスコースの時間
    • 映画のスローモーション、オーバーラップ、反復。
    • 小説でも言葉の繰り返しやパラフレーズにとって、ある出来事を何ども言葉で表すことができる。
    • 言葉による表現は、出来事それ自体よりも(少なくとも印象の観点では)長く存続しうる。思ったことを言葉で言うのは思うよりも時間がかかる。
  • 休止法:ディスコースの時間>ストーリーの時間=0
    • 物事を記述する際、休止法が見られるが、あからさまなのは避けられる傾向にある(登場人物に説明させるなど)。
    • 映画ではストーリーの時間が停止することはまずない。静止画面の提示によってのみ記述的な描写が可能になる。
  • 古典的な小説は要約法がメインだが、最近の小説(モダニスト小説)は省略法を用いて読者に間を埋めさせる手法が多い。
  • 情景の描写を通して態度や行動の骨子を伝えることができる。逆も。
  • 現代小説は情景法を登場人物の心の中の声、あるいは会話を通して行うが、古典的な意味ではそれは情景法ではない。ここで(読む時間と)対比されているのは、出来事に対する登場人物の記憶の持続時間であって、純粋に出来事が持続した時間ではない。ただ、「情景法的」とは言っていいと思う*7

C. <頻度>

  • 単一的:単一のストーリー構成要素をディスコースで一度だけ再現
  • 多重的かつ単一的:いくつかの構成要素のうち一つを、それぞれ数回再現
  • 反復的:同一の構成要素を数回再現
  • 累次反復的:いくつかの構成要素を一度再現。

 

*1:ジュネットの時間の分け方(物語内容の時間/物語言説の時間)とは厳密には違う気がする。多分ジュネットは読む時間とディスコースの時間を分けて考える(ジュネットまだ読んでないので、確かなことは言えない...)。というかあとで「語りの時間(こっちの方がディスコース感ある)」が出現したんだが...。

*2:おそらくこれがプロットの時間の言い換えだが、プロットはストーリーを編集した結果なので一致しないのでは?

*3:なぜ過去になるかはよくわからなかった。

*4:この時間がストーリーの時間なのか、ディスコースの時間なのかはよくわからない。多分勉強不足。

*5:「衝突」という表現は独特。というか具体的にどう言う事態を指しているのかわからん。

*6:補完的と言う呼び方と「空隙を埋める」という説明と合っていないような気がする

*7:ただ、この後に回想する時間(そしておそらく会話する時間も)はストーリーとディスコースで一致しているんじゃないかと言っている(要約された内容は回想という行為に対しては二次的)。要は入れ子構造になっている時、時間をどう考える(どう切り分ける?)と言う話だと思うが、ジュネットの語りの水準の話を噛めばどうにかならないかなー。